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非実在美少年へのラブレター 〜ファルスという至高の美少年〜

非実在少年愛好家を自称しているわりにそういえば具体的なことを語っていなかったな? と思ったので書いてみます。

好みが狭いもので、概念としてこういう美少年が好き! というのはあるものの、具体例を挙げるとなるとかなり少なくなってしまいます。見た目だけで言うなら結構いるのですが……

この美少年がすごい! というか「私の理想の美少年はここにいたのだ!」と衝撃を受けたのは、ミュージカル「LILIUM」の、工藤遥さん演じるファルスですね。

 

 

 

舞台「TRUMP」シリーズの二作目にあたるのですが、私はここから入りました。このビジュアルにピンとくる人にはほぼ確実に刺さると思いますよ。めちゃめちゃざっくり言うと、「LILIUM」はサナトリウムで生きる吸血種の子供(主に少女)たちのお話です。ファルスもまたサナトリウムで暮らす14歳の少年です。14歳。なんて素晴らしい響き。直球ど真ん中ストライクゾーンです。

舞台というのは近くで観ない限り顔の造形がほとんどわからない(とはいえ私が見たのはDVDなので顔アップもあったのですが)ため、キャラクターを認識する上で重要なのはシルエット、衣装、動作、そして声です。恐ろしいことに、ファルスはどれをとっても完璧でした。特に声。これがもうね、驚愕ですよ。第一声が発せられた瞬間に心を奪われました。こんなことありえるのか!? 舞台に立つ美少年から、想像通りの声がするのですよ!! 恥ずかしながらアイドルに関する知識が皆無の私はモーニング娘。'14さんについても工藤さんについてもほとんど存じ上げなかったので、こんな美少年の概念を具現化できる方が地上に存在するとは思わなんだ。ファルスを演じた頃の工藤さんも当時役と同じ14歳だったそうで。まさに奇跡としか言いようがありませんね。

それってキャラじゃなくて演者の話じゃない? お待ちください。ファルスは中身も含めて至高の美少年なのです。以下は「LILIUM」および前作「TRUMP」の内容のネタバレになるため、これから観る予定のある方はご注意ください。予定がなくてもギムナジウムとかサナトリウムとかヴァンプとかそういう単語にピンとくるなら観てほしい。

 

 

 

 

 

 

ファルスはある事情から永遠の命を得ています。この「LILIUM」という物語が開始した時点で1000年以上の時を生きている永遠の14歳です。あまりにも永い時を生きすぎて感情が摩耗しており、まともな道徳観念などはとうに失っています。もう既にわかったわかったOK最高って感じなのですが、何がいいって、彼は望んで不死でいるわけではないのですよね。不死を望んだのはファルスではなく、かつてファルスがただの少年だった頃の親友です。親友は己の命が終わることを嘆きながら、ファルスを激しく羨みながら死んでいきました。

ファルスの心は今もその親友に囚われたままなのです。親友の名を付けた薬をもって、自分と同じ永遠の時を生きる仲間を作ろうとした。そして彼女らに囲まれながら生きることを選んだ。その仲間たちと暮らす場所が、「LILIUM」の舞台であるサナトリウムというわけですね。遠い過去に喪った友人に執着したまま生きる美少年……良いよね。しみじみと、良い。五臓六腑に染み渡ります。

ファルスはよく印象的なセリフを口にしますが、何より彼を象徴しているのは「僕をひとりにしないでくれ」ではないかと思います。これからもずっと共に生きるはずだった仲間たちを失う間際に口にしたセリフです。主人公であるリリーに「あなたは永遠にひとりぼっちよ」と切り捨てられているのも含めて最高です。永い時を生きて歪んでしまったファルスですが、かといって完全に人の心を超越した存在になることはできず、本質的に臆病で寂しがり屋です。彼は14歳のまま時が止まっている。永遠に大人にはなれないのです。別に望んじゃいなかったのにね、かわいそうにね。独りで生きるのはいやだよね。でもね、「LILIUM」での出来事は自業自得なんじゃないかな。他人の命を操ろうとしてはいけないよね。自分をそんな目に遭わせた奴と同じことをしているのだ君は! まったく最高だな君は!! アハハ!!!

 

興奮してテンションがおかしくなってまいりました。長くなりましたが以上です。色々と言いましたが、工藤遥さんが演じていなければファルスにここまで心惹かれることはなかったでしょう。演者の大切さを改めて感じた作品でした。ありがとう工藤さん。ありがとう末満さん。ありがとうハロー!プロジェクト。ありがとう地球。そして何より「14歳の美少年」という概念に、ありがとう。

ちなみに、和田彩花さん演じるスノウは理想の美少女でした。LILIUMってすごい。