近ごろなんのゲームをしていたかというと、『ジャックジャンヌ』です。
あらすじを簡単に説明すると、演劇の世界に憧れる主人公が、ある事情から男性しか入れない歌劇学校に男装して入学します。女性だということがバレたら(+αの条件で)退学させられてしまうという厳しい環境の中、同じ学校の仲間たちと切磋琢磨しながら演劇に励む青春物語です。
いわゆるキャラ個別エンドはありますが、「乙女ゲーム」ではありません。
もうそういう設定はお腹いっぱいだよ! と思いつつも評判がいいのでプレイしてみたら、予想外によく作られてました。キャラもお話もいい上に分岐いっぱいお腹いっぱい。難があるとすればゲームシステムがはっきり言ってクソゲーレベルでつまらない点です(それはダメなのでは?)。
以下、ネタバレを含みつつ感想をつらつらと。
なんとこのゲーム、『東京喰種』で知られる(私は未読なのですが)石田スイさんがシナリオとイベントCGと劇中劇の脚本と劇中歌の歌詞を手がけているという恐ろしい作品なのだとか。そりゃ漫画家はストーリーも絵も描けるだろうけど、そういう才能のある人たちがゲームの領域に入ってきちゃったら太刀打ちできなくなーい!? とちょっと心配になりました。
個人的にいいなーと思ったのは、基本的に男性しか入れない学校なので、女性役を演じることにみんな躊躇がないのと、普段から異性装を楽しんでいたりするキャラが自然にいるところです。
そして何より良かったのが劇中劇です。ストーリー本編とリンクしており、キャラの成長が演劇を通して描かれるのもそうですが、きっちり全編通して見せてくれるので、演目自体も楽しませてくれます。そういうのが好きな人には特にお勧めできると感じました。
演目の種類は全部で5つ(最後の演目はルート毎に差分あり)。それに2〜4つの劇中歌も含まれるのでボリュームたっぷりです。
私は冬公演の「オー・ラマ・ハヴェンナ」が特に気に入っています。美少年と美少女で演じる女同士の友情物語、良い……(話自体も好きです)
残念だったのは、先に言った通り育成パートとリズムゲームパートが作業でしかなく辛かったのと、ベストエンドを見ても物語最大の謎が明かされなかった点です。なんなのあのイタチは!?
あとこれは個人的な好みの問題もありますが、個別キャラルートでは結局みんな恋愛関係になってしまうので、友情で通してくれるルートがあっても良かったんじゃないかと思います。せっかく乙女ゲームではないと明言しているので、関係性がもっと多様であったら嬉しかったです。恋愛といっても人によってはめちゃくちゃあっさりしてるし。
それから結局エンディングを迎えた後も男装して過ごさなきゃいけないわけで、卒業した後はどうするんだとか、本格的に演劇の世界に入った後はどうするんだとか、その辺はあまり深く考えない方がいいのかなと思いつつもどうしても気になりました。
とまあ、細かいところにツッコミを入れ始めるとキリがないのですが、総評としてはいい作品でした。タイトル回収があったのもアツいね。
ちょっとお値段は張りますが、1ルートしかクリアしないタイプの人にもお勧めできるゲームです。というか周回は結構ぢごくです。
ちなみに私は白田先輩がお気に入りです。
(スクショが半目なのは気にしないでください)