それがしブログ

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乙女ゲームから生まれるボーイズラブ

乙女ゲームとは、主に異性愛者の女性を対象として作られた恋愛ゲーム全般を指す。

私は小学生の時分にPSソフト「アンジェリークSpecial2」をプレイして以来、その独特の世界にハマってしまい──間にGBカラー「スウィートアンジェ」とかいうスーパーウルトラ神ゲーにどハマりしつつ──コーエーのルビーパーティーが生み出すネオロマンスシリーズを追い続け、他社のゲームもつまみながら、今日に至る。

※「スウィートアンジェ」の思い出についてはいつか語りたいと思っている。今一番リメイクを期待しているソフトです。無理? じゃあVCでもいいから……

 

先に示した通り、乙女ゲーム(最初期にこの言葉は存在しなかったがその辺の説明は割愛)とは主に異性愛女性をターゲットにして作られており、プレイヤーが操作する女性主人公が男性の攻略対象と結ばれることが最終目標として据えられている。それ以外のエンディングもあったりするけど今言及したいのはここね。

二次創作でも、(そもそも規模が小さかったが)主人公と攻略対象をカップリングした作品が多い。いわば公式カプである。他のジャンルで女性向け同人といえばやおい、BLという風潮があったし、男女カップリング創作者は肩身が狭い思いをしていたと聞く。乙女ゲームというジャンルには、そういった人たちが堂々と振舞うことの出来る唯一の憩いの場所という側面もあったかもしれない(そもそも現実社会でのメインストリームが異性愛であるために二次創作にBLが多いという面もあると思われるのだが)。

ターゲット層から考えて自然なことであろう、と私も思っていた。自分自身もBLは好んでいるものの、わざわざ乙女ゲームという特殊なジャンルに足を踏み入れてなお、公式カプ以外のファンフィクションを作る必要もあるまい‥…と。

※しかし実際のところ、アンジェ同人黎明期は同性カップリングが主流だったよう。守護聖様同士って作画コスト高そう。私がなんとなく同人について把握し始めたのはPSソフト「遙かなる時空の中で」の頃からだった。公式の雑誌で誌上通販が行われてる時代だったよ!

 

そんな私の凝り固まった考えを破壊する出来事があった。遙か3の攻略対象同士でカップリングを組んでいる友人に出会ったのである。

友人が何を好もうが自由ではあるが、先の通り乙女ゲームでのBLに疑問を持っていた私は「何故わざわざこのジャンルでBLをやるのか?」と尋ねた。友人が言うには、「攻略されなかったキャラたちは余ってしまう。もったいない」

……なんとも言い難い返答である。登場人物総カップリング現象に蕁麻疹が出る体質の私にとっては納得し難い言い分だ。しかし私は納得してしまった。友人の推しカップリングへの情熱に押し負けただけなのかもしれない。しかし、言われてみればその通りである。そうだ。主人公と結ばれなかった攻略対象たちにもその後の人生がある。彼らが他の人間と恋愛する可能性は大いにありえるじゃないか。それが攻略対象同士であったとして、何の問題がある? 「余る」という言い方はどうかと思うが、私は攻略されなかったキャラクターの「その後」について考えが至っていなかった。私はただ単に乙女ゲームの攻略対象として生まれたからという理由で、無意識のうちに彼らの未来の可能性を潰していたのである。作られた動機が何であれ、生まれ落ちた時点で彼らはすでに自由だ。一プレイヤーの想像の限界など簡単に越えられるのだ! エウレカ!!

かくして、私は乙女ゲームから生まれるボーイズラブを何の抵抗もなく見られるようになった。なんなら生産もした。今は友人が自分の貧困な想像力を打ち破ってくれたことに感謝している。

 

現在、乙女ゲーム原作アニメ「うた☆プリ」の大流行などを経て、乙女ゲーム発祥のBLは以前より市民権を得ているように思う。私はこれを喜ばしいことと考えている。

好みは人それぞれだが、どんなカップリングも尊重できるオタクでありたいものである。