獄中日記。
今準備している記事がどうも大掛かりな作業になりそうなので、箸休めにここ最近あった話でもしようかと思います。多少内容は重いかもしれませんが気遣って欲しいとかではなく、半分笑い話みたいなものなので気軽に読んでください。あ、気遣っても良いのよ。
まず、私はここ数ヶ月ほどうつ病で休職しておりました。現在も完治する気配はなく治療中の身です。病気になった原因はまあ色々あるんですけどそれは後日触れます。
休職期間中はなるべく安静にしていたのですが、まあ何をせずとも今社会情勢がどえらいことになっているじゃないですか。 昔は楽しんでいたはずのTwitterも見れば見るほど気分が悪くなるような惨状。オゲー。そら具合も悪くなりますわ。
というわけで、「こんなクソな世界に生きてられるか! 私は土に還る!」とちょっと自殺未遂っぽいことをしてみんとしました。そしたら入院する羽目になりましたとさ。一応強制じゃなくて任意入院という形ではあります。
それで病院に入ったわけですけれども、ここがまあ何ともボロ……古くさ……古式ゆかしい感じの建物でしてね。一応、急性期の患者さんが入る病棟だったはずなのですが……なんか昔の映画に出てくるような感じといえば伝わるでしょうか。
・大広間がある
・さらにそこにテレビ!! がある!!
・患者さんたちが常に団欒している
・どこに行くにも大広間を通らなくてはならない(めっちゃジロジロ見られる)
・給茶器は大広間にしか無い
・風呂に入るために毎回タオルを受付に取りに行かなければならない
・洗濯機は順番待ちのため誰かが使っていないか確認しに行く必要がある
・電話はテレホンカードを購入の上、受付の目の前に設置された公衆電話で行う
・そして病室はなんか古い
スマホや紐状のもの、剃刀やベルトなどが没収されること、外出や面会が制限されることは知っていましたが本当にここは救急病棟なのか!? ていうか患者の人権は!?
結局何もかも自分には全く合っておらず、何の成果も得る事なく(むしろ悪化した気がします)早期退院することになりました。
入院中に日記を書いていたのですが、あまりに陰鬱でホラーゲームに出てくる手記っぽくて逆に面白かったのでここに書き写しておきます。諸事情により加筆修正しているところもありますが多分読む分には支障ないのではないかと。ご了承ください。
これは日記に添えた絵ですがなんか鬱々とした気分が伝わってくる気がしますネ。
>あなたは病室で日記を見つけました。
>拾いますか?
某月21日 曇り時々雨。気分:悪い
入院初日 。
診察時に言いたいことを伝えたつもりだったが、どうにもうまく伝わっていない気がする。人権感覚の欠如した人々はSNSにだけいるのではなく、身近に存在するしそれを恐怖しているのだが。
病室は個室と思い込んでいたが、大部屋をあてがわれてショックを受けた。しかも、早速同室の人に声を掛けられ、あちらから自己紹介されたためにこちらも名乗らなくてはならない状況になってしまった。のっけから最悪な気分である。なぜ名乗るだけでリスクを負わなければならないのだろうか(しかもあろうことか「××じゃないんですね! でも××お上手ですね」と言われた!)。*1
結局家族と相談したのち(私は一言も喋っていない。人任せである)部屋を替えてもらい、名札も外してもらった。偶然空いていた二人部屋があったのだ。
既に帰りたい気分でいっぱいだ。信じられないほどの鼻水を垂れ流して疲れた。何もしたくない。今のところ入院治療が良い方向に作用するとはとても思えない。のんびり読書でもしようかと思っていたが、とても無理だ。猫に会いたい。
某月22日 晴?(窓からはよく見えない) 気分:普通。眠い
夜から朝にかけて寝付けず、眠れても浅すぎて早朝から飲み物を求めて徘徊する羽目になった。*2部屋の外は暗いし自販機は準備中だし朝からいいことがない。
朝食を取った後は逆に眠くてずっと寝ていた。途中頭痛がして薬をもらう。ロキソプロフェン。多分効いたと思うが、そのあとも頭がぼーっとしてひたすら寝ていた。薬のせいなのか疲れのせいなのか不明。食欲は特にないが運ばれてきた時は食べる。ただしほとんど残す(食欲がないのもあるが、苦手な食材が多い)。
部屋で一人でぼーっとしていても急に看護士の方が入ってくるからあまり落ち着かない。仕事だから仕方ないことだが。
トイレなどで外に出なければならないのが一番憂鬱である。人に会いたくない。あと、いまだに道が覚えられない。
某月23日 晴 気分:よくない
誕生日を入院中に迎えてしまった。ここ最近の誕生日はいつも何かある。あまりめでたくない。××歳……めでたくない。
絶対あるだろうと予想していたが、やはり入院患者の誕生日を祝うシステムがあるらしい。小さなケーキとメッセージカードを渡された。入って三日目の患者に書くことなど何もないだろうに逆に申し訳ない。
今日も中途覚醒を繰り返して頭がぼーっとする。ぼんやり目の奥が痛む。また薬をもらったがあまり効いている感じがせず辛い。
持ってきた本のうち、『ボーイズ 男の子はなぜ「男らしく」育つのか』を読み進めている。もう少しで読み終わりそうだ。「〇〇らしさ」の型に当てはめようとすると必ず苦しい思いをする人が現れるため、やはりそういった枠組みはよろしくない。
今日は面会があるものと思っていたが、もしや祝日は受け付けていないのだろうか? スマホで調べようとしたが、そういえばスマホがないのだった。
色々と考えているうちに不安が大きくなり、家族に泣きついて明後日退院することになった。自分にこの環境は耐えられない……
某月24日 晴れのち雨 気分:悪い
採血、胸部レントゲン、心電図などの検査を行った。
主治医と相談し、明日退院する許可が下りた。しかしどうにもやはり話が通じていない気がしてモヤモヤする。差別は悪であるということは共通認識としてあるようだが、今の日本に蔓延っている差別や偏見への認識が甘いというか。なぜか「自信をなくさなくていいと思いますよ」と意味不明な励ましを受けたが、私はこの状況に絶望しているのであって自信をなくしているわけではない。
これからどうやって生きよう。考えるべきことは多いが面倒だ。
何もかも全てちゃんと理解(しようという気持ちがある)してくれる人に話を聞いてもらいたい。できれば同じ立場のクリエイターがいい。
『セックスワークスタディーズ』読了。SWについてはほとんどなにも知らずに生きてきたので、初めて知る単語や事実が多かった。今後SWについての話題が出た時はもっと注意してみようと思う。現場を知る相談員がいなければまともに悩みを相談できないというのはどこの業界でもおそらく共通しているのだと思う。SWについては何かと偏見が付き纏うので従事者の方々の苦労が偲ばれる。
この本は共著なのだが、執筆者の一人には全く賛同できなかった。今この状況で表現の自由にヘイトスピーチを含めようなどと主張する奴はもれなくクズである。このくだりは必要なかったはずなので削って欲しかった。私の精神は削れた。
某月25日 晴れ 気分:よくない
退院当日。
23日も思ったが、待っている相手がいつ来るのかそもそも来ないのかわからない状態で連絡手段が無い中待つというのは非常に神経がすり減る行為である。
うたた寝しても夢の中で起きた夢などを見るのでもう何がなんだかわからない。
相変わらず夜は小刻みに起きてしまう。入院中は夜眠れない代わりに昼に少し睡眠をとることが多かったが、悪夢ばかりで起きた時は動悸が激しかった。非常に疲れる。
猫の頭を撫でながら起きたらシーツを撫でていたということもあった。膝に載ってくる猫の幻覚も見た。
岩波新書の『在日朝鮮人』を読んでいるが、聞き覚えのない単語が多くて頭に入ってこない。時系列順に書かれていないのもあって混乱する。
祖父はどのカテゴリに入るのだろう? 運動には参加したのだろうか? 生前に色々と聞いておきたかったと今更思うものの、いつも同じ話しかしてくれない上にあまり話上手なほうではなかったので、うまく聞き出せた気もしない。話したくないこともあったのだと思う。
>日記はここで途切れている……